2010年10月12日

「お前、まだVUITTONのバック持ってるの?」

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「近代流通業の終焉」などについて話す潟gムの柳田信行社長(写真右)。流通は変化する消費者のライフスタイルにどう対応できるか(同左、銀座)

「アイスクリームはなぜ溶けるか」を普通の大人に質問すると、やれ急速冷却で凍結させる工程に問題があったとか、氷の結晶が細かくなっていない、さらに気泡の合体が不均一等々、いろいろこじつけて答えます。ところが子供たちに聞くと答えは簡単、「早く食べないからだ」です。
トイレ

百貨店やスーパーを含む一般小売店など、日本の店舗小売業が苦戦しています。大勢は現状維持どころか、まだまだ下がるとされています。しかし業界関係者は、必ず日本の流通業は回復するはずだと、願望を込めてアノ手コノ手の改革に取り組んでいます。しかし「日本の近代流通は終焉した。いまやポスト近代流通の黎明期にある」とする、シビアな話を先日聞きました。講師の話を基に、日本の流通業の実態を考えてみました。

考える視点は、先のアイスクリームが溶けることに対する子供たちの答えで、なによりも現状を単純に捉えることです。昔から、落とした大金と逃げた女は戻らないといわれますが、まさにそのとおり。いつまでもグジグジせず、諦めることが重要なのです。諦めればすっきりしますし、次の手があります。そうでしょう、日本には人口の半分6000万人の女性がいます。うち30%が対象だとすると、1800万人もの相手がいます。要は物事の本質を明らかにし、執着心を断ち切ることが大切なのです。

そういった意味で講師も強調していましたが、この間政府が進めてきた自動車や家電製品などへのエコ減税は、超短期の延命策そのもので、まさに金をドブに捨てるようなものです。自動車などたちまち新車販売に反動が出て、売れるのは中古車だけといわれています。

日本の流通業界が執着心を断ち切るには、子供たちのように現状を客観的に見ることが不可欠です。第一は、人口が減って少子高齢化が進む現実。必然的にマーケット全体がシュリンクしているのです。スーパーの食品売り場が端的です。惣菜パックが小さくなっているし、かつて丸のままだった野菜が半分になり、今では4分の1で店頭に並んでいます。核家族時代の象徴とも言える「おひとりさま時代」のマーケットです。

2つ目。政治も経済も、将来がまったく分からない時代に入っています。テレビを見ていても不安感いっぱいで、ほとんど夢がありません。夢があれば消費者は使います。なにしろ100歳の人が「老後に年金を取っておく」という時代ですから。消費構造がよくなるはずがありません。たとえば日本の衣料品市場のスケールを見ると、1997年は17兆7千億円でしたが、09年には11兆9千億円まで約68%です。格安の輸入品が増えたことと、数量減の両方です。

3つ目はマーケットの減少と並行しての、流通チャネルの変化です。かつて日本には170万軒の小売店、そして百貨店がありました。これら小売店が激減するとともに、百貨店を含め各ショップの坪効率はこの15年間で半減しています。一方でネット販売が急速に伸びており、また昨年からリサイクルストアが拡大しています。

そして4つ目のライフスタイルの変化が、最も大きい。若者たちは海外に行かず、欧米の流通や資本主義の延長に自分たちの将来はないと思うようになっています。逆に普段の暮らしを大事にしています。「エコノミックアニマル」から「ウサギちゃんアニマル」への転身です。集まりにVUITTONのバックを持っていくと「お前まだ持っているの?」といわれる時代です。海外ブランド品は激減していますが今後、もっと減るはずです。

高価な海外ブランド品より、より本質的なものにあこがれます。「高尾山の湧き水がいい」「明治神宮の疎水に癒される」といった形で、心地よい状況にどう自分を置くかに腐心します。最近楽器を抱える人が増えており、楽器屋さんは盛況です。また歴史探訪や、スポーツ、それも見るスポーツではなく参加型スポーツです。

具体的にいえば自然志向をベースとした「参加」がキーワードです。街の中でかっこいい服を着るより、外で楽しむことに金をかけるのです。つまり意味のない見栄ではなく、普段の生活の中でちょっとした、さりげないリッチ感覚を楽しみます。「雑貨の世界」が人気を呼んでいるのもそういった傾向からだと思います。

最近、「断・捨・離」なるフレーズが雑誌や書籍などでもよく出てきます。変化するライフスタイルを象徴する言葉です。もともとはヨガの「断行・捨行・離行」をもとに生まれた言葉だそうで、家の中のガラクタを片付けて、心のガラクタをも整理することを意味します。「断」は入ってくる要らないモノを断つ、「捨」は家にはびこるガラクタを捨てる、「離」はモノへの執着から離れ“自在”の空間へ移ることだとされています。モノと自分の関係を見直して、バサッと捨てる。実に気分がいいでしょうね。考えてみれば、そのうち痩せるだろうと昔の服をたんすにしまって置いても、現実にはほとんど着ませんから。

以上、縷々紹介したように流通を取り巻く環境は激変しているにもかかわらず、業界はあいも変わらず、値引き合戦とPB(プライベートブランド)開発に血道をあげています。時間があれば講師先生の話を参考に、そのうち今後のマーケティングポイントや新しいビジネスについてまとめてみたいと思います。
posted by ウツボおやじ at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
はじめまして。

サンデーモーニングで「サルと人と森」を紹介していて、検索したところウツボおやじさんのブログに行き着きました。

休筆は残念ですが、素敵な本を紹介していただけたありがたみを感じております。

なぜこのページにコメントを書いたかと言うと、「断捨離」についての記事を読んだからです。

断捨離の提唱者ひでこさんとはお友達で、彼女が10年前からこつこつと行ってきた活動が今年花開いたという感じで、このように日記に書きとめてくださったことがとても嬉しかったのです。

最近はかなり忙しくて会えないのですが、彼女は「この考えを流行ではなくベースにしてほしい」と言われています。

物にあふれて生活するのではなく、本当に大切なものだけに囲まれた生活がいいですね。
Posted by しげっちゃん at 2010年12月26日 11:49
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