2010年10月16日

いま都会はちょっとした「自転車」ブームです

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御堂筋をちょっと入っただけでこのような放置自転車の数(右)。警告看板もさっぱり(中)。街を颯爽と走り抜けるお嬢さんたち(左)

ちょっと前の中国かと思うほど、日本各地でそれも東京や大阪のビジネス街、繁華街で自転車が氾濫しています。健康志向と環境対策が主因とされますが、少しでも交通費を節約したいとの考えも少なくないと思います。約30年前の1979年に約5000万台・国民一人当たり0.43台だった日本の保有台数が、現在では7000万台を超え、一人当たり0.7台近くを保有しているとされています。
信号

ひと口で自転車といっても種類が多く、全国の自転車店やホームセンターで一番売れているのが「ママチャリ」に代表されるホーム車で全体の33%強です。次いで通勤・通学や業務用のシティ車が26%、子供車10%、スポーツ車9%などです。また特殊なところでは、マウンテンバイクや折りたたみ車、幼児車が2〜3%です。特殊という分野で最近急速に伸びているのが電動アシストで、6%近くのシェアを持ちます。また中古車も8%強売れています。

坂道などをらくらく登れる電動アシストですが、従来ペダルをこぐ力に対するモーター補助力の比率が最大1対1に制限されていたものが、2008年12月に時速10キロ以内の低速の際には1対2に緩和されたことで一気にブレークしました。2008年度の販売台数は31万6千台を数え、ついに原付バイクの29万6千台を上回ったそうです。電動アシストの7割近くが7万〜10万円とそこそこの値段ですが、とにかくらくなのでしょうね。

一方で中古車の健闘に見られるように、従来どこでもあった自転車屋さんではなくホームセンターやスーパーで低価格品を買う傾向が強まっています。しかしここではハンドルやペダル、ブレーキなどの調整など含む修理は期待できません。結局壊れたら買い換える、使い捨てなのでしょうか。逆に自転車屋は、高齢化や後継者難などもあり経営が厳しくなっています。ただ修理はうまいが品揃えに乏しい個人商店、割安でも修理対応が十分ではないスーパーやホームセンターの両方を補って、急成長している自転車専門店チェーンもあります。

国内217店を展開する「あさひ」という会社で、今期売り上げ300億円、税引き利益21億円と過去最高だそうです。とにかく品揃えの豊富さとサービスがウリです。同社のうあるショップは800台もの品揃えで、半数が自社開発品です。会社員用は革靴でも滑りにくいペダル、通勤カバンが入れやすく横幅のあるカゴ。スカート派の主婦には、またぎやすい形のフレーム。顧客と会話をして、ぴたり1台を探し出します。顧客の声は翌日には本社で回覧される仕組みです。また修理と部品販売が売上高の30%を超すサービス体制です。「自転車は毎日必要な足。ビジネスの種は尽きない」と同社の社長。

さて自転車ブームで困った問題も起きています。運転マナーの低下、自転車事故、そして自転車置き場です。運転マナーという点で目立つのは女性、それも若いOLたちです。歩道、車道問わず自由気ままに神風運転です。中には携帯をしながら、さらにはくわえタバコのお嬢さんを大阪本町あたりではたびたび見かけます。

自転車事故は高齢者です。自分の体力や平衡感覚が落ちているのを、なかなか自覚できないのが主因です。2009年に自転車運転中に交通事故で死亡した人のうち、65歳以上の高齢者は445人で全体の64%です。1990年にはこの比率は47%でしたから、近年の高齢者被害の深刻さを物語ります。高齢者の事故原因は、安全不確認、ハンドル操作不適、一時不停止、信号無視の順です。加齢による衰えに加え「自分はまだ大丈夫」という過信が事故につながっているといえます。

そこで自転車メーカーが、三輪車タイプや足が地面に着きやすい低床設計など高齢者向け自転車の開発を進めています。たとえばブリジストンは、一定以上のふらつきやスピードを感知すると、「ふらついています」「スピードが出すぎています」と警告音声を発する自転車を開発しました。また視力の低下で道路とペダルの色が見え分けにくいことを想定して、踏み外さないようにペダルの色は白黒にしています。ところがせっかく技術を搭載した自転車を開発しても、「格好がよくないと最近の高齢者には売れない」といわれています。また「高齢者向けサイクル」などのネーミングをつけると、逆に反発して受け入れられないそうです。確かに昔も今も、高齢者はわがままですから。

そして3つ目が自転車置き場です。駅前はいまさらいうまでもないことですが、最近は御堂筋など主要幹線の歩道はすぐ撤去されるために、ビルの横や他のビルの駐輪場に平気で停める傾向があります。当方が通う集合ビルは比較的テナントが多いために大型駐輪場がありますが、全然関係ない人が毎日次々と駐輪するため、管理のおじさんはその整理に朝から晩までてんてこ舞です。また写真のように、御堂筋をすぐ入った横道の前に100台近くの自転車が置いてあります。ビルの管理者によると「いたちごっこ」だそうで、頭を抱えています。

以前、マンションにおける自転車の放置問題を取り上げましたが、“自己中”ともいえる運転マナーの低下、自転車事故、放置問題などを見ていくと、「健康志向」も「環境対応」も実に薄っぺらなものに思えてきますねえ。
posted by ウツボおやじ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記