2010年10月15日

敬称は重ねない「○○社長さま」は間違いです

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テレビドラマを見ていました。ある女子大のキャンパスで、通りかかった学長に何か指摘された後、2人の学生が声をそろえて「はい分かりました、学長先生さま」と応えていました。正確には「はい分かりました学長」でいいのです。

 そういえば最近、メールによる交信がごく当たり前となっています。しかしごく当たり前のように、「○○社長さま」「□□部長殿」と宛先が記入されています。これも正確には「○○社長」「□□部長」でいいのです。決して社長や部長に礼を欠いた表現ではありません。逆に常識を知らない人だと思われるかもしれません。
わーい(嬉しい顔)

敬称はこのように相手の名前の下に付けて敬意を表すもので、すぐ思い出すのが「さま、さん、殿、氏」などです。しかし「先生、社長、部長」などの役職名もまた、立派な敬称なのです。つまり「○○社長さま」は敬称を重ねており、「学長先生さま」に至っては敬称を3重にしていることになります。つまり敬称は、丁寧であればあるほどよいというものではなく、逆に敬称を重ねるのはよくないとされています。したがって「社長さん」「部長殿」「先生さま」などというのは間違いなのです。

もっとも、企業や団体によっては日常的に「○○部長さん」「××課長さん」と敬称を重ねて呼び合う習慣があるかもしれません。そういう習慣のある会社の人たちが相手なら、敬称を重ねてもかまわないという考えが最近、聞かれ始めました。確かにメールをいただくうちの90%近くが、「○○社長様」「××社長殿」の宛名で始まっており、こちらもついつい「□□社長殿」「△△専務様」などと書いてしまいます。

そういえば、「社長の申されるとおりです」もよく聞きます。これは尊敬語と謙譲語を取り違えているのです。両者は形の上で似ており、よく混同します。謙譲語は自分の行動をへり下って言う言葉で、相手の行動には使えません。「申される」はそれ自体が謙譲の意味を持つ「申す」に尊敬語の助動詞「れる」が付いたものです。尊敬の助動詞がついていても「申される」は謙譲語なのです。正しく言い換えるなら「社長のおっしゃるとおり」などでしょうか。

「社長さん、一緒にまいりましょう」ということを言ったり、言われたりすることがありませんか。これも敬称の重ねと謙譲語と尊敬語の取り違えです。「まいる」も「行く」の謙譲語で、「社長さん、一緒にまいりましょう」は、社長に実に失礼にあたるのです。「社長、行きましょう」でいいのです。とはいえ、敬語の使い方は本当に難しいですね。
posted by ウツボおやじ at 00:00| Comment(11) | TrackBack(1) | 日記