2010年10月09日

ノーベル賞受賞の快挙で想う

~.jpgH.jpg 
畑には霜が降り、コスモスの花も美しい
きのう8日は、24節気のひとつ「寒露」でした。冷気が加わって、露が秋の深まりを感ずる冷たさになったという意味です。日中はまだそうでもないですが、朝夕は間違いなく秋の深まりを感じさせる今日この頃です。
三日月

 高校生のころまで、ノーベル賞と言えば湯川秀樹、湯川秀樹と言えばノーベル賞でした。当方が生まれた1947年に湯川さんが受賞してから、朝永振一郎さんが受賞するまで実に16年が必要でした。ところが21世紀に入ると、01年に野依さん、02年が小柴さんと田中さん、08年には南部さん、小林さん、益川さん、下村さんと一挙に4人、そして今回根岸さんと鈴木さんの2人が受賞しました。南部さんはアメリカ国籍のため除外することもありますが、れっきとした日本人です。都合18人が受賞したわけです。

 18人のうち文学関係の川端康成さんと大江健三郎さん、そしてやや?の平和賞佐藤栄作さんを除けば15人が自然科学系です。やはり日本人ならではの分野と言えます。先の「はやぶさ」の快挙といい日本の自然科学者の活躍といい、はっきり「2位ではだめ」で、1位を目指さなければ達成できなかったことを証明しています。

 それにしてもこれだけの大学者にしても、大学教授などを退官した後の地位や経済援助などに対し、日本は貧困です。北海道で生まれ、北大で学び研究を重ねた鈴木章さんの場合、詳しい事情は知りませんが、94年に北大を退官した後は遠く離れた岡山の地で岡山理科大教授、倉敷芸術科学大教授などを歴任されています。弟さんが「兄は家が貧乏で大変だった。しかし二宮金次郎のようにいつも本を読んでいた」とテレビで話していましたが、鈴木さんのような人にも、もう少しじっくりと研究に打ち込める環境や経済援助などを提供できる日本でありたいとつくづくと思うのです。

 これまで米国中心に頭脳流失が指摘されていましたが、いま中国に日本の技術流失が進んでいます。いろんな業種で50歳前後の多くの中堅技術者が、日本並みに品質を向上させるために技術移転の手助けをしています。ただ技術者の言い分もわかります。日本の企業で40年間勤め上げても、退職金はスズメの涙。しかも「競業避止」の上積み金も出ない。60歳の定年後、自分の老後を考えるとどうしても重い腰を上げざるを得ないのです。

 欧米企業では当たり前となっているのが、労働契約で決められた「競業避止条項」。能力の高い人材には技術情報を与えると同時に、技術の漏えいについては厳しく管理されるのです。退職時に高度の技術を持っている人に対しては、退職金に守秘義務を守るための秘密保持費用(簡単にいえば口止め料)が上積みされます。特に高級技術者には秘密情報が集中するため、転職時には具体的に競業避止による技術情報漏えい禁止契約が交わされます。

 日本でも法務部や知財部を持つ大手はまだしも、中小企業などでは完全なザル状態で、「人材・技術流出」を止めることはできません。相互信頼に重きを置いて「まあまあ、なあなあ」で契約観念に希薄な日本人の特性だけが要因ではないと思います。そこにはノーベル賞を受賞した鈴木さんですら全国を飛び回って研究拠点や生活基盤を確保しなければならない、貧しい日本の現実が浮かび上がってきます。
やや欠け月

 さて10月23日は、同じく24節気のひとつ「霜降」です。秋の気配が一層深まり、朝には霜が時折見られ始めます。オヤジはその日、齢63歳となります。 
posted by ウツボおやじ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記